グローバルなゲームの成長をけん引
ゲームのグローバル化はますます進んでいます。Newzoo の「グローバル ゲーム マーケット レポート 2021」によると、ゲームの売上が 10 億ドルを超える市場は 20 に及び、4 億ドルを超える市場は 19 になるとのことです。米国と中国がかなりの差を付けて最大の市場となっている一方で、今日のゲーム クリエイターにとって市場規模の少なくとも 75% (ドル基準) を占めているのは、ゲームのオリジナル言語を母語としないプレイヤーです。
現在、グローバル市場での機会を捉えるべく、多くのゲーム メーカーが動きを見せています。ライオンブリッジ ゲーミング部門ではこのような傾向を受け、今後のゲーム ローカリゼーションにおいてはターゲット言語 (翻訳対象の言語) の平均数が増加すると予測しています。この傾向に拍車をかけているのが、中心となるアジア市場と欧米市場の相互進出です。アジアのタイトル作品を欧米で、もしくは欧米のタイトル作品をアジアでリリースするためのローカリゼーションが増加しているのです。
新興市場の急速な発展も見逃せません。インド、ロシア、インドネシア、トルコ、オランダ、タイは、今日のゲーム市場の上位 20 位に含まれており、それぞれの言語も翻訳対象の言語として上位に挙げられています。人気ゲームの見込み収益は、ローカリゼーションにかかる費用に比例して大きくなるため、ターゲット言語の数も増え続ける傾向にあります。
ゲームの音声も同様の傾向にありますが、新しいグローバルな機会の取り込みという点ではやや遅れをとっています。これにはいくつかの理由が考えられます。
- 音声の制作コストが高い
- ROI (投資収益) が不確実
- スケジュールと制作の負担が増える
- 新興市場はモバイル セクター優位
一番大きいのは最後に挙げた理由とみられます。モバイル プラットフォーム自体の性能に制限があるからです。
しかし、この状況は急速に変化しています。スマートフォンの性能が向上し、ビデオ ゲームのストリーミング プラットフォームが急成長したことで、技術的な制限は次々に取り除かれています。クロス プラットフォーム設計やプラットフォーム非依存型が増えたこともあり、ローカライズされた音声が対象地域のユーザー エクスペリエンスを向上できるとあれば、その機会を追求できるようになりました。ただし、ゲーム音声のターゲット言語を増やす際にはさまざまな課題があります。特に、成熟したゲーム音声業界が新興市場の地域に存在しない場合は深刻です。