現実世界の多様性を反映したゲーム ボイス

ストーリー作りとキャラクター作りの質を高めるインクルーシブな脚本、人材登用、翻訳


ゲーム業界では、現実社会の多様性を正しく反映し、包括性と自分らしさを重視したストーリーラインやキャラクターを作ることの必要性が高まり続けています。それは私たち全員が社会的責任や社会的価値を重視するようになったことの表れでもありますが、たとえ大義名分を考えなくても、今や、意識の低いキャラクター作りは作品の人気や評判を落とすリスク要因になります。ボイスとストーリーの多様性を重視したゲーム制作には、ぜひライオンブリッジの力をお役立てください。当社では、まさにこのテーマを追求するお客様に向けた専門的な各種プロセスを開発し、これらを含むサービスをご提供しています。 

スタジオに関する新たなニーズへの対応  

グローバルの波がさまざまな市場や分野に押し寄せる中、ライオンブリッジ ゲーミング部門も新たなスタジオの設立に努めています。新スタジオの設立が進む中、世界では、ビデオゲーム ボイスの収録とはまったく無縁であった地域においても、さまざまな言語のネイティブ スピーカー声優に対するニーズが高まりつつあります。   

たとえば、当社が最近扱った案件では、非常にマイナーな言語のオリジナル コンテンツを制作するために数人のネイティブ スピーカー声優が必要になりました。この案件では、できるだけ「本来の形」を追求するために私たちが声優の居住地域へ出向き、現地で収録作業を行いました。世界に広がるスタジオのネットワーク、別々のスタジオ間を結んでのレコーディング、そして在宅レコーディング ソリューションといったテクノロジーや手法は、かつてゲーム制作の世界で軽視されてきたコミュニティや文化の価値を正しく表現するための重要な手段となっています。  


新しい声優たちによる多様性の高まり

地域レベルでのゲーム声優人口の構成は、その地域で今までにあった仕事に影響を受ける傾向にあります。そして当然ながら、このような地域レベルのゲーム声優人口においては多様性が根本的に欠けていることが多々あります。  

当社が最近手掛けたいくつかの案件では、ノンバイナリーとトランスジェンダーのボイスをさまざまな言語でレコーディングしました。それらのプロジェクトでは、「LGBTQ+ コミュニティをありのまま描写するには、そのコミュニティに属する人々に声優を務めてもらう必要がある」という認識をそれぞれのお客様と共有することができました。 

これまで疎外され続けてきた声優人材にリーチするために、当社は従来よりも幅広い募集方法を採用する必要がありました。マイノリティの人々が属するコミュニティや、マイノリティの立場を代弁する団体との関係を構築し、新たな声優たちが経験を積むのに伴って各プロセスを調整しながらサポートを続けました。   

当社登録タレントで LGBTQ+ の自認を表明している方はまだ一人もいなかったため、キャスティング チームは人間関係やさまざまな地元グループの伝手を使って、セミプロとして仕事をしているノンバイナリーやトランスジェンダーの声優と連絡を取り、参加の意向を伺いました。その上で、資質ある声優たちを当社のボイス コーチ陣がサポートし、ゲームのボイス収録に特化した非常に専門性の高いテクニックの習得を促しました。  

一方、当社の側としても学ぶべきことがありました。ディレクターやレコーディング チームは、声優たちがアーティスティックな目標を的確に理解できるよう、また、声優たちに対して配慮の行き届いたマネジメントができるよう入念な準備を行いました。 音響エンジニアは、二元的な男女のジェンダー観に当てはまらないボイス周波数帯を扱えるように自身の作業スタイルを調整しました。このように私たちは、声優の多様性に対する需要の高まりに応えるために、人材のネットワークやレコーディング チームの整備と併せて共同的な取り組みを繰り返し、高度な対応態勢の構築を進めてきました。  

言葉遣いの適切さ  

ゲーム音声における包括性を確保するための作業は、声優が第一声を発するよりもはるか前、レコーディング工程が始まるよりも先にスタートします。世の中の目は、脚本はもちろんですが言葉遣いそのものにも向けられます。侮辱的な語彙などは自動チェックでも検出できますが、包括性の高い「インクルーシブ」な言葉遣いを確実に維持するには、カルチャー感度の高い脚本家、翻訳者、レビュアー、レコーディング チームを揃えなくてはなりません。  

ライオンブリッジでは、この目標を達成するためのトレーニングを制作チームの方々に提供し、ジェンダー中立性を保つ文章の書き方や、対象言語において二元的な男女のジェンダーによらない指示語を使う方法などといったテクニックを伝授しています。当社の音声チームは、プレイヤー キャラクターのジェンダーを選べるゲームでの経験を通じて、複数のジェンダー オプションを取り扱うノウハウを持っています。レコーディング技術についても、さまざまなジェンダーのバリエーションや従来の価値観に当てはまらないジェンダーへの対応力を高める取り組みを進めています。  


これは取り組む価値があるテーマですか?  

一言でいえば「YES」です!

音声の包括性、多様性、本来らしさを確保するという課題に対応するには、制作プロセスのあらゆる部分に携わるメンバー全員で取り組まなくてはなりません。今、私たちは移り変わりの途上にある時代を生きています。この段階では、積極的にどんどん人材を見つけて歴史的な疎外状況を解消することこそが包括性を追求する手段になります。   

多様なキャラクターのボイスを担当する声優は、コミュニティの代表になることのプレッシャーと、共感できる配役やストーリーを演じることの楽しさを同時に味わうでしょう。そのような仕事を支えるには、通常の以上に、声優をサポートする環境やプロセスをしっかり整えるチームの働きが重要になります。

なぜなら、通常よりも難しい作業やプロセスが発生するからであり、ハリウッドのベテランと違って経験の少ない声優を起用する以上、良い演技ができない可能性も大きいからです。

しかし、当該コミュニティの人々からは、身近な物事がビデオ ゲームの中できちんと描写され語られることに対して強い反応を得ることができます。その価値はリスクや難しさを優に上回るものになるでしょう。

当社ライオンブリッジは、まだ見出されていない多様性豊かな人材をサポートする取り組みを今後も続けてまいります。そこには、私たちが求めるものをふんだんに提供してくれる方々が待っているからです。

ライオンブリッジ ゲーミング部門は、カルチュラリゼーション、地政学的レビュー、物語デザインなどの各種サービスを通じて、言語や文化の垣根を越えるゲーム作品の開発をお手伝いいたします。ゲーム制作のサポートについては、当社までお問い合わせください。


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著者
Nicolas Underwood and Simona Pelli with April M. Crehan