ビデオ ゲームのオーディオ:始まり、ローカリゼーション、仕上げ

オーディオ制作会社はどのようにしてあなたの大好きなゲームのボイス、BGM、効果音を作っているのか


良質なオーディオはあらゆるビデオ ゲームに欠かせない要素であり、ゲームを選ぶ際の魅力として考えるプレイヤーもいます。オリジナル サウンドトラック、一流声優のボイス、そして没入感抜群のサウンド デザイン。それらがゲームに個性を与え、クリア後もプレイヤーたちの思い出として残り続けます。

ところで、そのオーディオはどうやって作られているのでしょうか?魅力的なオーディオは誰が作っているのか?このインフォグラフィックでは、謎に満ちたプロセスを覆い隠す幕を取り払い、オーディオ制作会社やレコーディング スタジオの舞台裏を覗いて、BGM、効果音、多言語吹き替えが、あなたの大好きなゲームに命を吹き込む様子をご覧いただけるようにしています。

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ビデオ ゲームのオーディオ制作プロセス

オーディオ制作のプロセスは 1 つの型がすべてに当てはまるようなものではありません。どのプロジェクトも唯一無二で、ローカリゼーションやスコープ、開発サイクルのペース、さらには個々の嗜好によってもその実際の工程は変わってきます。ローカライズしたオーディオのレコーディングは、オリジナル版のレコーディングと同様にはいきません。同じように、10 時間のゲーム用のレコーディングは 80 時間のゲーム用のものとは大きく異なるでしょう。

レコーディング プロセスに影響を及ぼす最大の要因の 1 つが、オーディオがオリジナルか、ローカライズされたものかということです。当然ながら、ローカライズのオーディオはオリジナルのオーディオより多くの確認工程や修正工程を経ることとなります。また、オリジナルのオーディオはローカライズされたものと違って、レコーディングが一挙に完了することはあまりありません。

ローカリゼーションでは、ゲーム全編もしくはゲームの一区切りがオリジナル言語で完成された状態であるため、一般的にスタジオは全スクリプトを一度に手にします。オリジナル オーディオの場合は、プロトタイプ版やバーティカル スライスから始めるのが一般的であり、その大部分は削除される可能性を含んでいます。また、レコーディングはプロダクションの後半から本格的に始動しますが、素材のカットや修正を必要とするゲームの変更が発生しないとは限りません。

とはいえ、多くのプロジェクトには共通するいくつかの主要工程があり、それらに注目すれば大まかな流れは一つのパターンで説明できます。

0. プロトタイピング

ゲーム制作において開発者は、オリジナル サウンドのほとんどないプロトタイプで作業を行う場合が少なくありません。そこから、いくつかの声や既存または大まかな SFX と音楽を入れたバーティカル スライスの作成に取りかかるのです。このフェーズはオリジナル版のオーディオ制作にしかありません。

1. ファミリアライゼーション / キックオフ

スクリプトの下書きが完成すると、開発者はオーディオ制作会社やスタジオに連絡を取ります。スタジオは開発者と連携し、彼らのニーズや期待値を理解し、IP に関する知識を深め、納期に応じたレコーディングの期間などを決定します。

オリジナル版のオーディオ制作の場合、音楽とゲーム内のサウンド エフェクトの初期デザインは、この段階から始まります。開発者のニーズと対応可能範囲に応じて、そのほとんどを社内で処理したり、個人のフリーランサーに依頼したり、業務の大半を任せる制作会社を雇ったりします。

2. キャスティング、契約、スケジュール

現地のキャスティング ディレクターは顧客から提供された情報、スクリプト、そしてキャラクターのプロフィールを基に、キャスティング サンプルを作成します。彼らは候補となった声優のデモを提供したり、声優にそのプロジェクト用のデモ収録を依頼したり、スタジオ内でオーディションを開催したりします。開発者はこれらの素材をレビューし、役に相応しい声優を選んだのち、連絡を取って契約内容に同意を取ります。こうして、レコーディングのスケジュールも確定されるのです。

3. ソース アセットの準備

開発者はオリジナル版のオーディオ制作に関する参考資料やスクリプト、ソース オーディオ、レコーディングの制約、そしてローカライズされたオーディオに関する追加の参考資料を含むソース アセットを提出します。スタジオ側は、すべてに問題がないことを確認します。何か問題があれば、スタジオは開発者にそれを報告するか、または開発者の希望に沿ってその場で解決します。よくあるアセットの問題は、資料ファイルの欠落やスクリプトのエラーです。また、吹き替え制作の場合だと、スクリプトとソース言語の音声ファイルの不一致や、言語固有の性別による差異等が問題になることもあります。

4. スクリプト翻訳、レビュー、&アダプテーション

ローカライズされたオーディオ制作の場合、スクリプトとメタデータは、必要に応じて翻訳とレビューがされます。スクリプトの翻訳に加えて言語のスペシャリストが、元の言語のフレーズや名前、その他の固有名詞といった独自の用語に対して、発音一覧を作成します。これらの一覧表やメモは、後のレコーディングでスタジオのボイス ディレクターが使用するものです。

ソース オーディオの準備ができると、翻訳されたスクリプトは追加チェックを受けることになります。リード ダイアログ レビュアーはソース オーディオを聴き、速度や語調、語気などを把握します。その後、スクリプトが魅力的なダイアログとなるように、各台詞が必要な尺に収まって映像と同期するように必要な調整をします。

5. スタジオ レコーディング

ここまでの工程を経て、遂に実際のレコーディングが始まります。ボイス ディレクターは録音したダイアログが制作ビジョンに合致したものとなるよう、声優の演技をガイドします。声優が各台詞やダイアログの段落を読む際、ディレクターは提案、例示、変更の依頼など様々な方法を駆使して、最高のパフォーマンスを引き出します。パフォーマンスはレコーディング エンジニアが同時に録音し、オーディオを取りまとめます。

パフォーマンスに少しでも気になる部分がある場合、または後で選定するためにより多くのバリエーションが求められる場合には、ディレクターは代替テイクを録音することもあります。スクリプトが不自然だった場合や、現場での新たな発想がダイアログの雰囲気をより良くできそうな場合、レコーディング チームがレコーディング中にスクリプトに変更を加えることもあります。

通常、現地のレコーディング チームを構成するのは、声優、ボイス ディレクター、レコーディング エンジニアです。複雑なプロジェクトであれば、そこにスクリプト エンジニアや言語スペシャリストが加わる場合もあります。また、開発の代表者がレコーディングの場に参加することもあるでしょう。

5.5 リテイク & 実装

オリジナル版のオーディオ制作はゲーム完成前に始まるため、レコーディングが 1 回のセッションで完了することはほとんどありません。1 回目の録音を評価した後、多くの場合、前回のくり返しを含む 2 回目のレコーディングが行われます。そこには修正、追加されたコンテンツやリテイクが含まれることもあります。大体この辺りのタイミングで、オーディオ エンジニアはシネマティクスの基本的な作業に取りかかったり、SFX やゲーム内音楽を実装したりする場合が多いです。コンテンツの変更に対応し、目標とされる結果を得るために、残りのプロセスの間にも複数のリテイク セッションが発生する場合があります。

6. 録音内容に基づく更新

レコーディング チームによってスクリプトに変更が加えられた部分は、すぐにリード ダイアログ レビュアーによって、基準を満たしているか、エラーがないかを確認されます。

7. クリーン アップ & トリミング

代替テイクを含む音声ファイルはクリーン アップとトリミングがされ、自動で名前が付けられます。

8. レベリング & FX 処理

オーディオは大まかにレベル調整 (ボリュームのバランス調整) と圧縮がされ、イコライザーにかけられます。そこに FX チェーンを適用します。FX にはリバーブ、ディレイ、ノイズ除去、ディストーションやその他のエフェクトも含まれます。特定のプラグインやプリセットを開発者が明示することもあれば、求められたサウンドを一から作成することもあります。次に、ファイルを指定どおりに再度レベル調整します。通常は、各 loc ファイルをソースの LUFS 平均値とピーク値に合わせて大まかに調整したうえで、さらに細かい調整を行います。

9. ミキシング、マスタリング、同期

オーディオは映像体験に合わせ、編集されます。多くのプロジェクトでプレイヤー体験の要となるカットシーンには、より厳密な同期、ミキシング、編集の要件などが課され、他の要素以上に注意が払われます。開発者のニーズに基づき、オーディオ エンジニアは各声優の未編集音声データからフルでミックスされたマルチ チャンネル ビデオまで、あらゆるものをエクスポートします。

オリジナル版のオーディオ制作では、このステップはゲームのアルファ版とベータ版のリリース期間全体に及ぶことがあります。アルファ版の段階では、シネマティクスは時間が固定されているため、エンジニアは本格的に作業に取り組むことができます。アルファ版の最終段階では、インゲーム ボイス、音楽、そして SFX の実装が完了しているでしょう。エンジニアはシネマティック ミュージックの最終仕上げとミキシングに取りかかります。

10. ローカル QA

ローカライズされた音声は、ローカリゼーションの品質保証を受けます。ネイティブ スピーカーで構成されたオーディオ LQA チームが、俳優の演技、仕上がり、尺の長さや映像との同期、スクリプトとオーディオとの整合性、そして技術的な要件まですべてを検証し、各台詞がプレイヤーの没入感を助けるものとなるようにします。

このタスクは自動化することも可能ではありますが、プレイヤーから好反応を得るためには人間による専門性も欠かせません。

11. 納品前の品質確認

QA チームは納品前に尺の長さ、技術的な要件、命名規則、フォルダ構造の追加確認をし、さらに漏れがないことをトリプル チェックします。そして、開発者の希望する提供方法に沿って準備し、納品します。

オリジナル版オーディオにおいては、特別な QA ラウンドで、技術仕様、サウンド クオリティとレベルの一貫性、そして必要なファイルがすべて揃い、正しい名前が振られているかという項目がカバーされます。

12. 品質管理

品質管理の仕事は、納品したらそれで終わりではありません。管理の徹底しているスタジオでは、納品後のコンテンツについてもサンプリングを行い、厳しい品質管理が行われます。これにより、たとえごく些細な問題でも、実際に上梓されるまでの期間に特定し解消することが可能となります。インサイト ダッシュボードによってゲーム評価を行うウェブサイトを分析し、フィードバックの収集や問題点の特定が行われます。

ゲーム オーディオの制作プロセスについて、もっと知りたいことはありませんか?ぜひ当社のエキスパートにご相談ください。


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著者:
アビゲイル スマザーズ (共著者ニコラス アンダーウッド、トム ヘイズ)